II. 離婚する際の注意点
前に5つの離婚原因を説明しましたが、一番関心を持たれる「不貞行為」についてご説明します。
夫に不貞行為がある場合、法律上の婚姻は相互に貞操保持義務があるのに、それに反して婚姻関係を破綻させた夫には、妻であるあなたは離婚を請求でき、離婚調停でも、調停不成立になった離婚訴訟でも、離婚を認めます。
但し、問題が何点かあります。
☆不貞行為(不倫、浮気)の証拠はありますか。
不貞行為の存在は、離婚事由に該当し、直ちに離婚に直結し、離婚慰謝料額も高額化しやすいので、夫側も必死に争う場合が多いのです。
不貞行為とは、性的関係が基本とされており、夫と相手方女性がラブホテルから出入りした写真が、証拠として典型的と言えます。このような写真であれば、裁判所は性的関係の存在を推認できるので、不貞行為を認定しますし、写真が無くても、二人の性的関係を推認させる何らかの証拠があれば、不貞行為が認定される可能性が高くなります。
最近よく問題となるのはメールです。その内容が性的関係の存在を推認させるものか、そうでないかを判断し、その前後の他の証拠とも合わせて、裁判官が、性的関係を認定するか否か判断しますが、弁護士に具体的証拠を見せて相談したほうが、見通しが立ちやすくなるので、具体的アドバイスを得られるでしょう。
「肉体関係は無い。それに近い性的交渉があったに過ぎない」と夫側が主張することがあります。
仮に、肉体関係の存在を立証しきれないとしても、「このようなことをしている夫とは、これ以上、婚姻関係を継続できない」という状況であれば、5号の「婚姻関係を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚が認められる可能性があります。
(1) 離婚慰謝料額の見通し
離婚慰謝料額は、離婚原因、離婚原因が継続していた期間、離婚原因によって受けた妻の精神的損害の大きさ、婚姻期間、夫の収入等で総合的に判断するとされますが、離婚調停の場合の方が、離婚裁判の場合より高くなる可能性が高いと言えます。
離婚調停は、高い慰謝料額でも夫が同意しているから、金額が上がりやすいのに対し、離婚訴訟では、夫側が高い慰謝料額に異議を唱えているからこそ訴訟に至っている場合が多く、裁判官は総合的に判断しても、固い点だけを認定して、慰謝料額を決めているからです。
このように離婚慰謝料額の平均をお伝えすることは難しいのですが、一般論として、婚姻期間が5年から10年、離婚原因が不貞行為の場合では、100万円から300万円が相場と考えられます。広範囲にわたってしまい申し訳ないのですが、考慮すべき要素がたくさんあるので、詳しくは弁護士に相談していただく方が見通しが立ちやすいと言えます。
(2) 親権はどちらが認められやすいか
親権は、子の年齢が低いほど、妻に認められる可能性が高いです。
妻に子供の親権が認められないのは、妻に子供への虐待等がある場合など、子供が成育するについて明らかに妨げられる事情がある場合などです。そしてこのような例外的事情を除き、妻に親権が認められるのが大半であり原則的な扱いと言えます。
(3) 養育料
養育料とは、離婚によって、父母2人の共同親権から、妻だけに親権が認められた場合、元妻が未成熟の子供を成人させるまで生育するための生活費として、元夫に対し請求できる金員です。養育料の具体的な金額は、東京と大阪の裁判官が作成し、東京、大阪の家庭裁判所で使用されている「養育費・婚姻費用算定表」に記載されています。
(4) 財産分与
財産分与とは婚姻してから離婚するまで、夫婦二人で共同して築き上げた財産を、離婚する際に、原則として2分の1ずつ取得できるものです。
婚姻する前から片方だけが取得していた財産(婚姻前の各自の預貯金など)や、片方だけが相続によって取得した財産は、特有財産と呼ばれ、財産分与の対象にはなりません。
〒330-0061
埼玉県さいたま市浦和区常盤
9-19-5 岩端ビル2-B
TEL 048-789-6050
FAX 048-789-6051
E-mail urawatokiwa-law
@mx1.alpha-web.ne.jp